

「ファンクションジェネレーターを選びたいけれど、出力波形や周波数範囲の違いがよくわからない」「使わなくなったファンクションジェネレーター、いくらくらいで売れるのだろう」——ファンクションジェネレーターはオシロスコープと対で使われることが多い、電子回路の開発・評価に欠かせない測定器です。本記事では、ファンクションジェネレーターを選ぶ際に押さえておきたいポイント、用途別のおすすめ、主要メーカーの特徴、そして買取相場を左右する要素と実際の相場感まで、あわせて解説します。あわせて、筆者が高温環境下での回路トラブルをファンクションジェネレーターで分析した経験もご紹介します。
測定器全般の買取相場の考え方については測定器の買取相場はどう決まる?高く売るための5つのポイントもあわせてご参照ください。
ファンクションジェネレーターとは
ファンクションジェネレーターとは、正弦波・矩形波・三角波といった基本的な波形の電気信号を、任意の周波数・振幅で出力できる測定器です。回路に信号を入力してその応答を確認するといった用途で、電子回路の開発・評価・故障診断まで幅広く使用されています。電子工作の趣味レベルから、企業の研究開発、教育機関の実習まで、非常に裾野の広い測定器といえます。
オシロスコープと対で使われる理由
オシロスコープの選び方と買取相場で解説している通り、オシロスコープは信号の波形を観測する測定器です。ファンクションジェネレーターで既知の信号を回路に入力し、その出力をオシロスコープで観測するという組み合わせは、電子回路の動作確認における基本的な手法であり、この2つの測定器は多くの実験室・開発現場でセットで用意されています。
💡 現場での体験談
筆者は以前、原油探査機器の開発エンジニアとして働いていた時、回路の高温動作試験を行うことがよくありました。高温環境下で回路の挙動がおかしくなることがあり、その原因を突き止めるために、ファンクションジェネレーターを使って特定の周波数の信号を回路に入力し、応答がどう変化するかを一つずつ確認していきました。ファンクションジェネレーターは新しい回路の動作確認だけでなく、こうした環境要因によるトラブルシューティングにも欠かせない測定器です。
任意波形発生器(AWG)との違い
任意波形発生器(AWG:Arbitrary Waveform Generator)は、正弦波などの基本波形に加えて、ユーザーが自由に定義した任意の波形を出力できる、より高機能な機器です。ファンクションジェネレーターは基本波形の出力に特化したシンプルな機種が多く、価格も比較的手頃なため、汎用的な用途ではファンクションジェネレーターで十分なケースが大半です。
ファンクションジェネレーターと関連測定器の違い
信号発生器(SG)との違い
信号発生器(シグナルジェネレーター)は、主に無線通信の評価に使われる、高周波の正弦波を高い確度で出力することに特化した測定器です。ファンクションジェネレーターが比較的低い周波数帯で多様な波形を出力するのに対し、信号発生器はより高い周波数帯での正確な信号出力に強みを持つという違いがあります。
パルスジェネレーターとの違い
パルスジェネレーターは、立ち上がり・立ち下がり時間やデューティ比を精密に制御したパルス信号の出力に特化した測定器です。ファンクションジェネレーターでも簡易的なパルス出力は可能ですが、厳密なタイミング制御が必要な評価では、専用のパルスジェネレーターが選ばれることがあります。
ファンクションジェネレーターを選ぶ際の主要チェックポイント
ファンクションジェネレーターは数万円の入門機から、多機能な高性能機まで価格帯の幅が広く、用途に合った機種を選ぶことが重要です。
出力周波数範囲
評価したい回路が動作する周波数が、機種の出力範囲内に収まっているかを確認する、基本的なチェックポイントです。一般的なアナログ回路の評価であれば数MHz程度まで対応していれば十分なケースが多い一方、高速デジタル回路や無線関連の評価では、より高い周波数への対応が必要になることがあります。将来的に扱う周波数帯が広がる可能性も考慮し、少し余裕のあるスペックを選んでおくと、買い替えサイクルを延ばすことができます。
出力波形の種類(正弦波・矩形波・三角波・任意波形)
基本的な正弦波・矩形波・三角波に加えて、パルス波やノイズ、任意波形を出力できる機種もあります。自社でどのような波形の評価が必要かを整理し、対応する波形の種類を確認しておきましょう。矩形波のデューティ比を細かく設定できるかどうかも、デジタル回路の評価では重要な確認ポイントになります。
出力振幅・確度
出力できる電圧の範囲(振幅)と、その確度(実際に出力される電圧の正確さ)は、評価の信頼性に直結する重要なスペックです。微小信号を扱う用途では、低い振幅でも安定して出力できるかを確認しておく必要があります。
チャンネル数
2つの異なる信号を同時に出力したい場合など、複数チャンネルが必要な用途では、2chモデルを選ぶ必要があります。位相差のある信号を同時に出力できる機種は、フィルター評価など特定の用途で重宝されます。
変調機能(AM・FM・PM・PWM)
振幅変調(AM)や周波数変調(FM)、パルス幅変調(PWM)といった変調機能を搭載した機種もあります。無線通信や音響機器の評価など、変調信号を扱う用途ではこれらの機能の有無を確認しておきましょう。
掃引(スイープ)・バースト機能
周波数を自動的に変化させる掃引(スイープ)機能や、指定した回数だけ波形を出力するバースト機能は、フィルターの周波数特性評価や、特定のタイミングでの信号入力が必要な評価で活用されます。
用途別に見るおすすめの選び方
電子回路の動作確認・デバッグ
一般的な電子回路の開発・デバッグであれば、数MHz〜数十MHz程度の出力周波数範囲を持つ、汎用的なファンクションジェネレーターで多くの用途をカバーできます。オシロスコープとセットで、コストバランスの取れた機種を選ぶとよいでしょう。同じメーカーで揃えると、操作性に統一感が出て使いやすくなるというメリットもあります。
音響・オーディオ機器の評価
スピーカーやアンプといったオーディオ機器の評価では、可聴帯域(20Hz〜20kHz程度)を正確にカバーし、低い歪み率で信号を出力できる機種が適しています。歪み率の仕様が明記されている機種を選ぶことで、評価結果の信頼性を高めることができます。
教育・研究用途
大学や高専などの教育現場では、操作がシンプルで基本波形を確実に出力できる、扱いやすいモデルが選ばれる傾向があります。研究開発では、変調機能や任意波形出力など、より高機能なモデルが求められることもあります。
主要メーカーの特徴
キーサイト・テクノロジー
米国の大手計測器メーカーであるキーサイト・テクノロジーは、幅広いラインナップと高い信頼性で知られ、研究開発から教育現場まで様々な場面で採用されています。中古市場でも安定した需要があり、部品供給やソフトウェアサポートの体制も長期にわたって維持されやすい点が安心材料です。
テクトロニクス
米国の計測器メーカーであるテクトロニクスは、オシロスコープで知られるメーカーですが、ファンクションジェネレーターや任意波形発生器も幅広く手掛けています。オシロスコープと同じメーカーでそろえて使われることも多く、中古市場でも根強い需要があります。
エヌエフ回路設計ブロック
国内メーカーであるエヌエフ回路設計ブロックは、低歪みの信号発生技術に強みを持ち、精密なオーディオ評価などの分野で高い評価を得ています。国内メーカーならではの手厚いサポート体制も、導入時の安心材料として評価されています。
岩崎通信機
岩崎通信機は、オシロスコープと合わせて使われる汎用測定器を幅広く手掛けており、コストパフォーマンスに優れたファンクションジェネレーターを提供しています。日本国内の教育機関や中小企業の開発現場でも導入実績が多く、扱いやすい価格帯の機種が充実している点が特徴です。
ファンクションジェネレーターの買取相場を左右するポイント
出力周波数範囲・機能の豊富さ
出力周波数範囲が広く、変調機能や任意波形出力に対応した高機能なモデルほど、査定額も高くなりやすい傾向があります。逆に基本波形のみのエントリーモデルは流通量も多く、相場は比較的落ち着いています。2chモデルやスイープ・バースト機能付きのモデルも、機能の分だけ評価が上乗せされやすい傾向があります。
付属品(BNCケーブル・ACアダプター)の有無
本体に加えて、専用のBNCケーブルやACアダプターが揃っていると、査定額にプラスに働くことがあります。付属品が欠けていると、次の使用者が個別に買い足す必要が生じるため、査定に影響することがあります。
校正証明書・動作状態
他の測定器と同様、校正証明書の有無や、実際に電源を入れて正常に波形が出力されるかどうかが査定に影響します。出力波形をオシロスコープなどで確認できる場合は、あわせて記録しておくと査定時の説明がスムーズになります。
ファンクションジェネレーターの買取相場の目安
ファンクションジェネレーターの買取価格は機種によって幅がありますが、大まかな価格帯のイメージとして以下のように整理できます。
エントリークラス(基本波形のみ・低周波数帯)
正弦波・矩形波・三角波といった基本波形のみに対応したエントリーモデルは、流通量が多いこともあり、査定額は数千円〜1万円台程度の水準になることが多いクラスです。
ミドルクラス(変調機能・任意波形対応)
変調機能や簡易的な任意波形出力に対応したミドルクラスは、数万円程度の査定になることがあります。2chモデルや、掃引・バースト機能を搭載したモデルもこの価格帯に含まれます。
ハイエンドクラス(広帯域・高機能)
研究開発向けの広帯域・高機能なモデルは、状態や年式次第で数万円〜十数万円規模の査定がつくこともあります。校正証明書が付属していれば、さらに高い評価につながりやすくなります。任意波形出力機能を搭載したモデルは、機能の希少性から相場が安定しやすい傾向もあります。
あくまで目安であり、実際の金額はメーカー・型番・状態・付属品によって変動します。正確な金額を知りたい場合は、型番と状態を伝えたうえで個別に査定を受けることをおすすめします。
導入前に確認しておきたいポイント
接続する測定器・回路との相性を確認する
出力インピーダンスが評価対象の回路と適合しているかを確認しておくと、想定通りの振幅で信号を入力できないといったトラブルを防げます。多くの機種は50Ωまたはハイインピーダンス出力に対応しており、設定を切り替えられるようになっています。
必要な精度を事前に見積もる
カタログスペック上の周波数確度・振幅確度が、実際の評価に必要な精度を満たしているかを事前に確認しておきましょう。過剰な精度を求めると価格が上がってしまうため、実際の用途に見合ったスペックを見極めることが大切です。
高く売るための注意点
測定器の買取相場で紹介しているポイントに加え、ファンクションジェネレーター特有の注意点もあります。
出力端子(BNCコネクタ)の状態を確認する
出力端子のコネクタが緩んでいたり、破損していたりすると、安全性や動作の面で評価が下がることがあります。査定前に、目立った傷みがないか確認しておきましょう。長期間使用していた場合は、内部の埃を柔らかい布で軽く拭き取っておくだけでも、見た目の印象が良くなります。
保管環境にも配慮する
測定器の保管方法・注意点で紹介している温度・湿度・静電気対策は、ファンクションジェネレーターにもそのまま当てはまります。
複数台まとめての売却も検討する
教育機関や研究室で複数台のファンクションジェネレーターを保有している場合、まとめて売却することで運搬コストの面で有利な条件になることがあります。
ファンクションジェネレーターを長く使うためのポイント
出力をショートさせない
出力端子を誤って接地させたり、他の電源出力とショートさせたりすると、内部回路の故障につながることがあります。接続前には、配線が正しいか、電圧レベルが適切かを必ず確認する習慣をつけましょう。特に複数の機器を同時に接続する評価環境では、思わぬ経路でショートが発生することもあるため、回路図を確認しながら接続することをおすすめします。
保管環境に気を配る
測定器の保管方法・注意点で紹介している温度・湿度対策は、ファンクションジェネレーターにもそのまま当てはまります。特に湿気の多い環境での保管は、内部基板の腐食や動作不良につながることがあります。
定期的な校正で出力精度を維持する
研究開発など高い確度が求められる用途で使用する場合は、定期的な校正によって出力周波数・振幅の精度が維持されているかを確認することが重要です。測定器の校正とはもあわせてご参照ください。校正記録を残しておくことで、将来売却する際の査定でも有利に働きます。
よくある質問
古いアナログ方式のファンクションジェネレーターでも売れますか?
動作する状態であれば買取対象になることがあります。ただし、現在の主流はデジタル方式(DDS方式)であるため、需要や査定額はデジタルモデルに比べて限定的になる傾向があります。
校正証明書がなくても査定してもらえますか?
証明書がなくても買取は可能です。動作確認の結果をもとに査定させていただきます。
壊れて波形が出力されないファンクションジェネレーターも売れますか?
部品取りとしての買取が可能な場合があります。廃棄する前に、まずは状態をそのまま伝えて査定に出してみることをおすすめします。
オシロスコープとセットで売却すると有利になりますか?
個別に売却するよりも、セットで売却することで運搬コストの面で有利になることがあります。まとめて査定を依頼することをおすすめします。
教育機関で使っていた古いモデルでも査定してもらえますか?
動作する状態であれば査定は可能です。台数が多い教育機関からのご相談も承っておりますので、まとめてお気軽にご相談ください。
まとめ
ファンクションジェネレーターを選ぶ際は、出力周波数範囲・波形の種類・出力振幅・変調機能といった仕様を、実際の用途に照らして確認することが大切です。買取相場においても、これらの機能の豊富さに加えて、付属品や校正証明書の有無、動作状態が査定額を左右します。
測定器買取センターでは、キーサイト・テクノロジー、テクトロニクス、エヌエフ回路設計ブロックをはじめ、幅広いメーカー・機種のファンクションジェネレーターを査定しております。オシロスコープとあわせてお使いだった測定器がありましたら、まとめてお気軽にご相談ください。
設備更新や研究テーマの終了などで使わなくなったファンクションジェネレーターがありましたら、廃棄する前に一度査定に出してみることをおすすめします。
